トップマネジメント層に必要なコンセプチュアルスキル(概念化能力)とは?
1. コンセプチュアルスキルとは
コンセプチュアルスキルとは、企業を包括的にみることができる能力のことで、経営者などのトップマネジメント層には必要不可欠な能力です。
今回はコンセプチュアルスキルの詳しい意味や養い方を学んでいきましょう。
1-1 カッツモデルとコンセプチュアルスキル
カッツモデルをご存じでしょうか。カッツモデルとは、役職や立場に応じて必要な能力を整理したフレームワークのことで、1950年代にアメリカの経済学者ロバート・L・カッツが提唱したものです。
カッツモデルでは、マネジメントの層を3つに分類(「ロワーマネジメント=監督者」「ミドルマネジメント=中間管理職」「トップマネジメント=社長・CEO」)し、各階層に所属する人に必要な能力を3つ提示しています。
その能力のうち、トップマネジメント層に最も必要な能力と言われているのが、コンセプチュアルスキルです。残り2つのスキルはテクニカルスキル、ヒューマンスキルとよばれそれぞれロワーマネジメント層・ミドルマネジメント層に最も必要な能力だと言われています。詳しくはカッツモデル記事内で説明していますので、気になる方は確認してみてください。
1-2 10の要素
3つのスキルのなかで一番具体的な内容が想像しにくいのがコンセプチュアルスキルなのではないでしょうか。コンセプチュアルスキルは日本語では概念化能力と訳されます。物事の大枠や抽象的な考えを理解する力、物事の本質を見極める力のことを指します。
具体的には、コンセプチュアルスキルを構成する10の要素を身につけることによって習得が可能です。
1. ロジカルシンキング(論理的思考):物事を要素に分解し、整理する力
2. ラテラルシンキング(水平的思考):固定概念にとらわれず自由に発想する力
3. クリティカルシンキング(批判的思考):現状の前提や課題を本当にあっているのかという視点でみる力
4. 多面的視野:1つの事象に対して複数の視点から検討する力
5. 受容性:多様な価値観を受け入れる力
6. 柔軟性:時代やニーズにあわせて対応できる力
7. 知的好奇心:新しいものに興味をもち取り入れていく力
8. 探求心:物事に対して粘り強く深く追求する力
9. チャレンジ精神:失敗を恐れず、挑戦する力
10. 俯瞰力:現状を客観的に見極め、判断を下す力
コンセプチュアルスキルを身につけることで、答えのない問題に直面した際に問題点を整理し現状を分析し計画的に課題を解決する力が発揮できます。
2. コンセプチュアルスキルを養う
では、具体的にコンセプチュアルスキルはどのように養えばよいのでしょうか。
コンセプチュアルスキルは短期的に身につく力ではないため研修などを通して学ぶことに加え、日常的に意識する必要があります。
日常の中でコンセプチュアルスキルを高めるには物事を抽象化する・物事を定義化する習慣を身につけることがおすすめです。
成功した体験、反対に失敗した体験を列挙し、それぞれに共通点を見出すという作業は物事を抽象化していることになります。そしてその共通点を、『成功するのは~というときだ。失敗するのは~というときだ。』といったように定義化します。この作業を繰り返し行うことで、コンセプチュアルスキルを養うことができます。日常の中で物事を抽象化する習慣を身につけることによって高められるスキルなので根気よく続けてみてください。
3.コンセプチュアルスキルを身につけて組織全体の底上げを
組織はさまざまな立場の人が、さまざまな役割を担うことで成立するものです。なかでも組織を束ねる立場にある役割の人は組織を包括的にみる力が必要です。物事を抽象化し、本質を見極めることは容易ではありません。10の要素を獲得していき、日常的に物事を概念化する習慣を身に着けていくことでコンセプチュアルスキル高めることができ、それが組織の発展にも繋がります。コンセプチュアルスキルを身につけてよりよい組織を目指しましょう。