ロバートガニエの9教授事象で効果のある研修を~指導過程における9つのプロセス~

2021.10.15 NEWS

研修や指導を行う際、どのようなプログラム内容にすればよいか悩むことはありませんか?このような悩みを解決してくれるのがロバートガニエの9教授事象です。ロバートガニエの9教授事象を学んで研修作りに活かしましょう。

1.ロバートガニエの9教授事象とは

ロバートガニエの9教授事象とは、学習心理学者のロバート・M・ガニエが提唱した学習支援モデルのことです。授業や教材、研修の設計を行う際に、どのようなプロセスを踏むのが有効かを示した理論です。近年注目されている、効果的な学習方法を設計するインストラクションデザインのモデルの1つでもあります。ガニエは、教材や授業を構成する指導過程を”学びを支援する外側からの働きかけ(外的条件)”と位置付け、人が新しい知識や学びをどのように身に着けていくか分析しました。その結果導きだされたのが9つのプロセスです。

2. ロバートガニエの9教授事象を知る

人が学習する上で効果的な指導の仕方が以下の9つのプロセスです。

(1) 学習者の注意を喚起する
(2) 学習者に目標を知らせる
(3) 前提条件を思い出させる
(4) 新しい事項を提示する
(5) 学習の指針を与える
(6) 練習の機会を作る
(7) フィードバックを与える
(8) 学習の成果を評価する
(9) 保持と転移を高める

この9つのプロセスは導入・情報提示・学習活動・まとめの4つのステップに分類することができます。授業や教材作成にも当てはまるのですが、今回は研修を行うことをベースに各ステップを解説していきます。

ステップ1 導入
まず、導入パートでは新しい知識を身につける準備を行います。

(1) 学習者の注意を喚起する
学習者に対して問いかけやクイズを行うことで、研修に入り込む誘導ができます。
(2) 学習者に目標を知らせる
この研修の目的、獲得できるスキルを提示することで研修後のイメージを学習者に持たせます。
(3) 前提条件を思い出させる
新しい学習をする上でベースとなる知識のおさらいをします。前回の研修内容の振り返りなどがこれに当てはまります。

ステップ2 情報提示
学習する準備ができたところで、いよいよ本題に入ります。
(4) 新しい事項を提示する
学習者にその日学ぶ内容を提示します。

(5) 学習の指針を与える
学習内容の重要なポイント・研修の核となる部分を抑え、さらに理解を深めます。具体例を示したり、資料を配ったり、表や図、グラフを用いて行うと、より効果的です。

ステップ3 学習活動

ここではインプットした知識をアウトプットします。

(6) 練習の機会を作る
練習問題を解いたり、ロールプレイを行ったりし、学んだことを反復します。
(7) フィードバックを与える
(6)練習の機会を作る で行った練習に対し、講師からアドバイスや改善点を示すことで正しく学習をすることができます。

ステップ4 まとめ
学んだ知識を長期的に維持するための最後のステップです。

(8) 学習の成果を評価する
学んだ学習が身についているかテストなどを用いてチェックします。
(9) 保持と転移を高める
研修後に、実際現場で学習した内容が役にたっているかを確認します。フォローアップ研修やOJTなどはこのプロセスに当てはまります。

以上がロバートガニエの9教授事象です。
どれも研修でよくみるステップですが、ロバートガニエの導きだした理論をもとに、その意味や順序を理解することで効果的な研修が設計できます。

3. ロバートガニエの9教授事象をもとに有意義な研修にしよう

人になにかを指導するということは容易なことではありません。自分が理解していても、人に伝えるとなるとどのような手順・方法をとればよいのか頭を悩ませることも少なくはないのではないでしょうか。ロバートガニエの9教授事象は新しい知識を学習する上で効果的な手順をプロセス化したものです。研修を設計する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

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