学習者のレベルに合わせた学習指導 アダプティブラーニングとは?
研修を設計する際、スピードやレベル感の設定に悩んだことはありませんか?同じ研修でも受講者の習熟度によって簡単すぎたり、逆に難しすぎたりしますよね。基礎的な知識から研修すべきか、応用編からスタートしてよいのかは受講者によって異なります。そのような悩みの手助けをするのが、今回紹介するアダプティブラーニングです。
1. アダプティブラーニングとは
アダプティブラーニングとは、一人ひとりに合わせた学習内容を提供し、効率的に学びを深める方法のことです。アダプティブラーニングはITを活用した教育EdTechの1つで、従来の学校での教育方法より決め細やかな学習指導ができると評価されています。
蓄積されたデータからひとりひとりの興味関心、思考の癖にあわせた学習内容が提示されたり、学習レベルや速度に合わせた指導が可能であったりする点から文部科学省も推進している学習方法です。
2.アダプティブラーニングを研修に活用
教育現場で注目されているアダプティブラーニングですが、企業での研修でも活用されています。
時間のない社員でも、隙間時間に自分のペースで学習を進められたり、社員一人一人の学習状況を、学習ログを用いて把握することができたり、研修コストが抑えられたりとさまざまなメリットが考えられます。
ここでは実際アダプティブラーニングを活用している企業の事例を参考にアダプティブラーニングへの理解を深めていきましょう。
・JR西日本
JR西日本では、業務内容のペーパーレス化を行うためにアダプティブラーニングを導入しました。知識量や経験の異なる社員にマニュアルや業務の変更点などを効率よく周知するというのが目的でした。実際採用されたアダプティブラーニングは、記憶定着型学習エンジンの「Cerego(セレゴ)」です。Ceregoは学習者に最適なタイミング・難易度で問題を出題することで、記憶に定着させるというのが特徴です。また、幅広い分野・言語にも対応可能であるという点から多くの企業や組織で活用されています。
JR西日本では、Ceregoを導入したことで社員の学習意欲が高まりました。情報のアップデートのCeregoを利用すれば簡単なので、日々情報が更新される組織や、情報伝達が難しい大きな組織でも活用されています。
・三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では、新人育成で個人の理解度のばらつきをなくすことを目的にアダプティブラーニングを導入しました。ここで採用されたのは、金融機関向けのデジタル教材CoreLearn(コアラーン)です。CoreLearnには「法務」「税務」「財務」「為替」などの金融に特化したコンテンツがあるのですが、三菱UFJ銀行ではこれらを自社用にカスタムした「骨太ドリル」を作成し導入しています。問題を間違えると次に進めなかったり、解いた問題がその場で自動採点されたりと学習の定着を促す仕組みがたくさん盛り込まれているのが特徴です。三菱UFJ銀行ではCoreLearn導入により、社内テストと点数が上昇するなどの効果が出ています。
一口にアダプティブラーニングといっても、さまざまなコンテンツが存在します。自社の課題や目的にあったアダプティブラーニングを導入してみてはいかがでしょうか。
3.アダプティブラーニングを用いて学習者に合わせた研修を
コロナウイルスの影響もあり、隙間時間での学習やそれぞれにあった学習などが注目されています。
アダプティブラーニングでは、個人のレベルに合わせた学習を進められる上に、研修担当者が学習者の学習の進捗具合も把握することができます。また、対面での従来型の研修とアダプティブラーニングのハイブリットで研修を進めると学習者の不安も取り除くことができます。新入社員研修や内定者研修は特に知識量や割ける時間にばらつきのある研修だと思うので、アダプティブラーニングの導入を検討してみるのもいいかもしれません。