東北大学様の事例紹介
大学発スタートアップ向けに起業の基礎知識を動画コンテンツで提供、網羅的な知識の習得に
前小屋様
東北大学では、知と人材が社会的・経済的インパクトを生み出すべく、大学発スタートアップの創出を積極的に支援しています。その結果、2024年8月現在、教員主導・学生主導合わせて199社のスタートアップが誕生しました。
産学連携部スタートアップ創出戦略室では、主に東北大学のスタートアップ支援を行っていますが、支援の中で大きなウエイトを占めるものが「GAPファンド」です。GAPファンドとは、研究の成果を商業化する過程において発生する資金不足や成熟度の不足など「ギャップ(溝)」を埋めることを指します。
研究者はビジネスについて知る機会が少ないため、基礎研究が実装されて製品として世に送り出して物が売れるまでには相当なギャップがあります。そのため、起業を目指す教職員や大学院生に対して資金を提供して、伴走支援するプログラムを行っております。
前小屋様
2021年度より、「みちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム(MASP)」の主幹・共同機関として、参画大学・高専研究者・大学院生によるディープテックスタートアップ創出のための検証活動を支援するプログラム「みちのくGAPファンド」を実施しています。
支援する資金には限りがあるので、みちのくGAPファンドは公募を行い審査制としています。申請書の提出やプレゼンテーションなどを行って審査し、採択者は、伴走型支援を受けながら、起業にあたって必要となる資本戦略、事業戦略、知財戦略等を学びつつ、ベンチャーキャピタルや事業会社とのマッチングの機会を得られる仕組みです。
しかしながら、「みちのくGAPファンド」を申請する教職員や学生の主な活動は研究であり、起業やスタートアップの知識を得る機会は限られています。申請にあたって「起業とは何か」を理解していないと、申請書の作成自体が難しいといえます。
そのため、研究者の方や学生起業を目指す方に、まずは動画を視聴し、起業における基礎知識を身に付けてもらうことを申請条件にしようと思い、アンファクの動画コンテンツの利用を検討しました。
前小屋様
時間的な制約があり、他社と比較は行っていませんが、デモ動画を視聴し、起業に関する基礎知識がまんべんなく入っているかチェックしました。起業に関する基礎知識だけではなく、エフェクチュエーションなど、起業家精神に特化したコンテンツがある点が珍しいと感じました。
石倉様
タイトルと動画を見ながらチェックしたところ、アンファクの動画コンテンツは非常に網羅的にまとまっていると感じました。1本の動画が5分程度、長いものでも10分程度と要点がコンパクトに短時間でまとまっており、さまざまなテーマが選べる点が魅力ですね。
前小屋様
起業に必要な基礎知識の取得を目的とした「みちのくアカデミア発スタートアップ準備資金 e-learning 講座」として、アンファクの動画コンテンツの中から、起業を目指す研究者に向けた動画コンテンツを合計290本ピックアップしました。
290本もの動画を全て視聴するのはボリュームが多いため、申請において必ず視聴してもらう必修科目と、知識を深める任意視聴の科目に分けています。
2024年度の必修科目は、研究者のための経営学習やエフェクチュエーション、資本政策やファイナンス、会社設立、機関設計、研究開発が主となる大学発の起業のため知的財産権など、起業のイロハや事業を始めるにあたり知っておくべき内容を入れております。
任意視聴の科目には、研究者のための特許入門やアイディアの出し方、イノベーションとアントレプレナー、新規事業の作り方と成功ポイント、スタートアップサイエンス、デザイン思考など、起業にあたって役立つ知識や考え方の動画を選びました。
前小屋様
アンファク側から動画リストを出してもらい、デモ用動画を視聴しながら選定を行いました。研究活動で多忙な研究者の負担にならないよう、要点をまとめて2〜3時間で視聴できる動画コンテンツにしています。
教材選定において、MBAのような経営に関する発展的な内容は省き、できるだけスタートアップに特化した内容にしました。
アンファクの動画は2021年度から利用しており、今年度である2024年度は3回目の利用となります。2回目である2022年度からは、昨年度に選定した動画コンテンツをベースに、追加や割愛を行っています。
石倉様
アンファクの動画コンテンツは、当室が必要としてるような項目が選びやすい点が良かったです。複数のテーマを組み合わせながら、申請者に必ず理解してもらいたい内容を必須コンテンツとして選定しました。その上で起業の全体像を学べるようなコンテンツがあるとアンファクから提案があったため、さらに興味を持った方が学びを深めるために、任意で受講できるコンテンツを用意しました。
初回である2021年度に視聴した方の反応や、学びたいテーマの要望などに応じて、2022年度以降はコンテンツの入れ替えを行いました。
前小屋様
個人的には、起業において予測が困難な状況下で意思決定を行う際に用いる思考プロセス「エフェクチュエーション」のテーマが特に良かったと思います。
起業において、考え方や物の捉え方などマインドセットが重要であり、ビジネス成功に繋がる行動や意思決定に影響を与えると考えます。研究と起業では、目的や価値基準が異なるためマインドセットのギャップが非常にあります。アンファクの動画コンテンツでは、起業におけるマインドセットについて、分かりやすい事例で説明されていました。
石倉様
前小屋さん同様に、エフェクチュエーションは起業家にとって非常に重要な考え方だと思います。このコンテンツがある点も、アンファクの動画サービスの魅力だと感じます。
研究者に対して「会社や事業化は研究と違うこと」を知ってもらう必要があり、動画コンテンツは基本的な知識を得る導入研修のように活用できました。中でも必修動画に選定したものは、起業において特に意味のあるコンテンツだと思います。ほかにも、「終わりを知って創業する」という会社の終わりに関するカテゴリも良かったです。
動画を通して、基礎研究が実際に事業化されて広がる全体像がイメージでき、事業化によって社会的・経済的にインパクトが生まれることが分かってもらえると思います。
動画構成においても、短時間で好きなときに好きな順番で受講できる点がメリットだと感じます。恐らく全コンテンツを一度に視聴する方は少なく、隙間時間で少しずつ見るケースがほとんどだと思うので、短時間で構成された動画はニーズに合っているのではないでしょうか。近年はタイムパフォーマンスも重視されており、1.5倍速や2倍速で視聴できる点も動画ならではの良さだと感じます。
前小屋様
みちのくGAPファンドは、一般的なスタートアップと異なり、科学的発見や革新的な技術を用いて問題解決を行うディープテック系のスタートアップがメインになっているので、ディープテック系の起業に必要な動画コンテンツを増やしていきたいですね。
例えば、ディープテックのスタートアップにおける資金課題として、いわゆるJカーブと呼ばれるように、プロジェクトが軌道に乗れば収益が急激に上昇しますが、初期段階では研究開発費用や運営費用がかさむために収益が低下し赤字の期間が長い問題があります。そのため、資金調達に関するコンテンツも必要かと考えます。
大学の研究は、市場や顧客が求める「ニーズ(Needs)」ではなく、技術やアイデアの「シーズ(Seeds)」からスタートするケースがほとんどです。そのため、研究開発によって生まれた製品に需要があるのか把握することも大切であり、研究と商業化の間で感じる大きな溝を埋めることも求められます。
また、研究開発がメインになるため、ビジネスを進めていく上で特許の重要性や知的財産に対する理解も重要です。競合が多い分野においては、どのように独自性を持たせていくかも大切なので、差別化できるようにサポートしていきたいです。
石倉様
協力チームに外国籍のメンバーがいるケースがあり、留学生や外国人研究者が今後増えることを想定し、動画コンテンツの多言語対応も行っていきたいです。
ほかにも、研究の現場はグローバルなため、多国籍の人たちと一緒にチームを組みチームアップするために必要な知識やマインドの教育コンテンツも必要だと感じます。
また、ディープテック領域は海外に販路があるケースもあるので、海外におけるビジネス対応の知識も提供したいですね。
森島様
今回依頼した動画は、GAPファンド申請時、つまり起業前の状態で視聴するため、会社の立ち上げに必要な知識を中心にしていますが、今後は審査で採択された研究者向けの動画コンテンツを検討しています。例えば、起業後の失敗事例や躓きがちなポイントなど、事業を継続させるための教育も必要だと感じます。
近年は、機密情報や知的財産を不正に入手する産業スパイも問題です。当室は研究分野のスタートアップ支援が中心であるため、知的財産の流出防止など、知の安全保障に関する教育も行っていきたいです。
インタビュアー:佐々木絵美
2024年 8月取材
※所属・肩書・記事内容は取材当時の情報です
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