ラーニングエクスペリエンスってなに~学習体験をデザインする方法~


ラーニングエクスペリエンスデザインをご存じでしょうか。これは、日本語で学習体験デザインと訳され今注目されている分野です。
ラーニングエクスペリエンスデザインという言葉は2007年にオランダのニールズ・フロア氏のよって生み出されたものですが、まだまだ日本には浸透しておらず、日本語で書かれた文献も少ないのが現状です。

ラーニングエクスペリエンスデザインとは


ラーニングエクスペリエンスとは一言でいうと学習体験をデザインすることです。
ラーニングエクスペリエンスデザインはUXデザイン(ユーザー体験デザイン)から派生してできたものです。
ユーザー体験(UX)とはユーザーが製品やサービスを利用することで受け取った印象のことを言います。そしてユーザー体験をデザインすることをUXデザインといいます。
身近な例としてはLINEが挙げられます。LINEはUXデザインを高める要素を詰め込んだ結果、従来のメールアプリよりも気軽に相手とコミュニケーションをとれるツールとして普及していきました。UXデザインを高める要素とは、受信ボックス・送信ボックスを排除し同じ画面でメッセージがやりとりできるシステムであったり、スタンプ機能であったりを指します。
このようにUXデザインはユーザー体験をデザインするものですが、ラーニングエクスペリエンスデザインは学習体験をデザインするものです。

ラーニングエクスペリエンスデザインの実践


では、ラーニングエクスペリエンスデザイン=学習体験をデザインするためにはどのようなプロセスを踏めば良いのでしょうか。
学習体験には座学以外にも、本を読んだり、議論をしたり、映画を見たりすることも含まれます。これらの体験によって得られるものは知識や価値観の形成、多角的な視点などさまざまありますよね。学習体験をデザインするとは、与えたい(学習してほしい)ものを先に決定し、そのためにはどの学習体験が合うのかを吟味するというプロセスになります。具体的には、以下の通りです。

1. 問いをたてる

まずは目標をたてます。学習者にどのような学びをしてほしいかということです。

2. 調査する

次に学習対象者への調査を行います。どのような背景を持った学習者なのか、年代や職業によってもアプローチは変わってきますよね。このステップは軽視されがちですが効果に大きな差をだすステップですので丁寧に行いましょう。

3. デザインする

学習者が目標を達成するためにはどのような学習体験が最適かをアイデアとコンセプトを練ります。

4. 開発する

3でデザインしたものを実現するためにコンテンツのプロトタイプを開発します。0からつくりだすのか、既存のものを組み合わせるのか方法はさまざまです。

5. テストする

開発したものがうまく運用するか試し、修正を加えていきます。

6. 市場にだす

1から5を繰り返し行い、十分な出来になれば学習者に届けます。

3.ラーニングエクスペリエンスデザインを深める


ラーニングエクスペリエンスデザインの普及に伴って、ラーニングエクスペリエンスデザイナーと呼ばれる職業も登場しています。企業内でラーニングエクスペリエンスデザインを行う際はこのような専門的な知識を持っている方に依頼するのも一つであると言えます。
また、ラーニングエクスペリエンスデザイン関連のコミュニティも増えており、より学習を深めたい方にはそれらの活用をおすすめします。
冒頭でも述べてように、日本ではラーニングエクスペリエンスデザインがまだまだ普及していないため、日本語での文献が少ないのが現状です。ただ、海外では積極的に取り入れられているテーマであるので、この記事を通して興味をもった方はセミナー等を通して学習を深めていきましょう。

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